昨年まで、私の研究室の准教授であった野平先生が、
1月から京都大学エネルギー理工学研究所の教授へ昇任されました。
私と一緒に高温電気化学をはじめとした
共同研究を行っており、研究室の学生が用いている装置も、
新しい研究室へと移動いたしました。
そのため、
私自身も学生とともに、
共同研究先の野平研究室へとデスクを置かせていただき、
装置の復旧と立ち上げ作業に、春はいそしんでおりました。
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電気炉の立ち上げ中、ボンベも仮配置です |
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実験装置、分析装置のレイアウト案です |
ゆえに、
・萩原研究室(吉田キャンパス)
・萩原研究室(宇治キャンパス)
・野平研究室(宇治キャンパス)
の3ヶ所を移動しながら、
学生の研究指導や、
核燃料物質の管理業務を行ってます。
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3ヶ所のうちどこにいるかを、マグネットボードに掲示 |
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さて、そんな中、
修理中だった
電気化学測定装置の1つが返ってきました。
この装置の良いところは、
IR補正の性能が良いところです。
電気化学測定を行う場合に、
電位をある一定の速度でスキャンし、電流の応答曲線から
電気化学反応の速度論を評価する手法があります。
通常は、たとえば100mV/sの速度でスキャンすると、
電極表面にかかる電位は、1秒あたり100mVずつ変わっていきます。
しかし、電流を流す際には、
IRドロップというものがあります。
電流値(I)や電解浴抵抗(R)が大きいと、
電極にかけた電位が、電極と電解質の界面に全てかかるわけでなく、
電解浴内部での電圧ロスにかけられてしまいます。
そのため、100mV/sの速度でスキャンしても、
電極表面にかかる電位は、たとえば1秒あたり90mVずつしか変わらず、
速度パラメータの評価が正しく行えません。
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無事に返ってきました |
今回戻ってきた装置は、
特に高速スキャンに対するIRドロップの補正機能が高く、
今までに測定したデータを、先日再測定いたしました。
学会用のデータも修正することとなりそうです。
こういったIR補正機能は、
電流の大きな
高温での電気化学測定では、
精密データを得るのに特に重要になってくるのです。
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補正前後のデータ。補正後はピークが鋭く。 |