2023年9月10日日曜日

タングステンのリサイクルに向けた研究

2020年まで在籍していた前研究室での成果である、
超硬工具からのタングステンのリサイクルに関する論文が、
この度、採択されました。
 
'Oxidative Dissolution of Cemented Tungsten Carbides in Molten Sodium Carbonate by Addition of Copper(I) Oxide as Oxidizing Agent',
Kouji Yasuda, Kohei Suzuki, Ryotaro Uehata and Rika Hagiwara:
Journal of Sustainable Metallurgy, vol. 9, no. 3 (2023) pp. 1390-1398.
https://doi.org/10.1007/s40831-023-00737-7

前報では、炭酸溶融塩だけであっても、
チップなどの超硬工具からタングステン成分を溶出できる
という内容でしたが、
本報では、炭酸溶融塩に酸化剤となる金属イオンを
入れておくと、より高速で溶出できるという結果を得ています。

2022年11月29日火曜日

博士卒後の様々な進路に関する講演会

私の所属する講座が主催となって、
博士卒の後、研究者として歩まれた方から、
学部生や大学院生のロールモデルの一つとして、
自分の経験や将来に対する期待を語っていただく会を開催いたしました。

博士課程に進学しない学生にとっても、
研究者たるものがどのような者かという理解してもらうとともに、
自分の将来の参考になる共通点なんかがないか、
役立ててもらおうという会です。
例えるなら、就職サイトの「先輩社員の声」コーナーの、研究者版です。
 
私から、2006年のドイツ留学の経験と、
そこから得た経験や自信について、
多くの写真を交えながら紹介いたしました。
たとえ留学をせずとも、学生たちが新天地に向かう際の心構えとしても
役にたってもらえればと思います。



リチウムイオン電池の安全失活に向けた研究

我々のグループで研究を行っている、
リチウムイオン電池の安全失活に向けた研究の論文が、
この度、採択されました。
 
“Submerged Comminution of Lithium-ion Batteries in Water in Inert Atmosphere for Safe Recycling”
Tetsuya Uda, Akihiro Kishimoto, Kouji Yasuda, and Yu-ki Taninouchi
Energy Advances, 1(11), (2022) 935-940.
https://doi.org/10.1039/D2YA00202G 
 
放電されていない電池が廃棄時に混入していたとしても、
水素爆発や火災を引き起こすことのない手法を
目指した研究内容となっています。

論文としては、テキストだけでなく、
動画をご覧いただくほうが、どのような手法であるか
よくわかるかと思います。
Supplementary files に置いてあります。

2022年9月6日火曜日

電気化学誌の電解特集

電気化学会の会員誌「電気化学」において、
特集「持続的成長社会を支える新たな電解技術」
企画させていただきました。

企画して記事を集める
というのは初めての経験だったのですが、
産業側、大学側と様々なステージの電解技術を
紹介することができた
と思ってます。
ご執筆いただいた先生方には、御礼申し上げたいと思います。

同時に、編集の皆様のお力などについても、
深く勉強することができました。
グラフィカルアブストラクトも、
僕の書いたラフなスケッチから、大変キレイに仕上がっております。
ご興味のある方は、ぜひ各記事をご覧ください。

2022年8月28日日曜日

高校生実験教室を開催しました

私たちの豊かな生活には、銅、鉛、亜鉛、金、銀といった
多種多様な非鉄金属が必要不可欠です。
また、金属は鉱石から製造されるだけでなく、
最近では廃棄物からのリサイクルも活発に行われています。
ただ、なかなか実際に、それらの製造工程を目にする機会は多くありません

そこで、安田の所属する非鉄製錬学講座では、
非鉄金属の製造法やリサイクル法を
高校生の皆さんに知ってもらう場として、
体験型の教室である「高校生実験教室」を開催しています。
同時に、金属の製造やリサイクルが、
社会的にいかに重要な分野であるかを感じてもらうような
教育を提供しています。

今回は、8月9日(火)に、8名の高校生を迎えて実施いたしました。
詳しくは、京都大学工学研究科のホームページ
掲載されましたので、そちらをご覧ください。

2022年6月6日月曜日

シリコン電解の総説論文

金属には色々な製造法があり、
今まで、半金属であるシリコン(ケイ素)の製造法について、
総説記事としてまとめて来ました。


英文総説
1. 'Solar-grade Silicon Production by Metallothermic Reduction'
2. 'Processes for Production of Solar-Grade Silicon Using Hydrogen Reduction and/or Thermal Decomposition'

上記1は金属熱還元法による製造法、
2は水素還元や熱分解を使った製造法に関して
まとめた総説論文です。


今回は、その3として、
電気分解によるシリコンの製造法を、記事としてまとめました。

'Electrochemical Production of Silicon'
Kouji Yasuda and Toshiyuki Nohira:
High Temperature Materials and Processes, vol.41, no.1, (2022) pp. 247-278.
https://doi.org/10.1515/htmp-2022-0033


過去に行われた様々な電解質中でのシリコン電析を網羅し、
各電解質別に分類して、それぞれの特徴を比較してまとめた内容に
なっております。オープンアクセスです。
後世の研究者にも長く利用してもらえる内容と自負しておりますので、
ぜひご利用いただければと思います。


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Up to now,
I have summarized the production methods of silicon as review articles.
The methods of production by metallothermic reduction,
and hydrogen reduction have already been published, respectively.

This time, we have newly published a review article on the production of silicon by electrolysis.

'Electrochemical Production of Silicon
Kouji Yasuda and Toshiyuki Nohira:
High Temperature Materials and Processes, vol. 41, no. 1, (2022) pp. 247-278.
https://doi.org/10.1515/htmp-2022-0033
(Open Access)

The electrodepositions of silicon in various electrolytes are covered
and compare, and the characteristics of each electrolyte were discussed.

We are confident that the contents of this publication can be used
by future generations of researchers for a long time.
We hope you will find it useful.

2022年4月25日月曜日

非鉄製錬学講座の更新

私の所属する「非鉄製錬学講座」は、
2017年4月より、三菱マテリアル株式会社の支援による寄附講座として
設立されております。
この2022年4月以降も、第2期として同講座を更新することについて、
4月15日に京都大学百周年時計台記念館にて、
本更新に伴う記者発表を行いました。

引き続き、非鉄製錬学ならびに
それを用いたリサイクルに寄与できるよう、
尽力してまいりたいと思います。

京都大学ホームページ
 「三菱マテリアル株式会社の支援による寄附講座
  「非鉄製錬学講座」の更新について発表しました」
  https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news/2022-04-25
亜鉛還元による太陽電池級シリコンの高速連続製造法に関する研究

安田 幸司
(京都大学 環境安全保健機構 助教)