2017年5月9日火曜日

新人の受入教育

学生に聞いてみると、
意外と「研究とは何のために行うのか」という問いに
回答が無かったりします。

もちろん答えは千差万別なのですが、
自分の研究や実験を行うだけでなく、
そういった「自分の使命は何か」という素養
ぜひ身に着けておいてもらいたいと思います。


さて、研究室も4月に入り、
新しく4回生やM1の新人を迎えることになりました。

受入教育も各種行うわけで、
本日は座学で30分×3を、私の方から行いました。

(1) 研究活動の意義
(2) 研究公正チュートリアル
(3) メールマナーとタスク管理

の3点です。


(1) 研究活動の意義 では、
研究とは何を目的とし、どのようなことを行うべきかという根幹について、
最近の解説記事(理工系のための研究方法論)を基に説明しました。

(2) 研究公正チュートリアル では、
捏造、改ざん、盗用、といった、不正の事例と、
それらを防ぐ意識付けについての教育です。

(3) メールマナーとタスク管理 では、
最近の子はコミュニケーションツールがLineなどのアプリなので、
電子メールを使わないんですね。一般的なマナーについて教えました。
また、あまりシステム的に教わることのない、
To doリストやメールソフトを使った仕事の管理方法も紹介しました。
実際にその場にならないとわからないことも多いんですけどね。


上で書いたように、入ってくる学生の経験値が年々変わってきているため、
教育内容も毎年改訂しなければなりません。
教育とはオーダーメイドで提供すべきものですから。

彼らも慣れないところでしょうが、
一歩ずつ身に着けて行ってもらえればと思います。

2017年4月20日木曜日

溶融塩セミナーの開催

カナダのサスカチュワン大学から来られた、
Georges J. Kipouros教授が、4月19日、20日の2日間、
溶融塩に関するセミナーを開催されました。

溶融塩を用いた金属製錬や、
実験方法、電気化学、溶融塩の構造など、
基礎から応用までを幅広く、ご教示いただきました。

私は参加できませんでしたが、
学生には英語の勉強を含め、良い刺激となったようです。


キプロス先生(左奥)を囲んでのランチ風景

2017年3月31日金曜日

席替え

春学会から帰ってきて、
M1は就活モード、B4は新年度の準備。
そんな時期になりました。

研究室で学生のデスクがあるのは3部屋あるのですが、
今日、席替えを行いました。
心機一転ですね。


この部屋は机を減らして少し広くなりました。

学生が疲れて寝ています。。。

2017年3月7日火曜日

Editors' Choice Articleに選定

昨年12月に公開された下記論文が、
ジャーナルの「Editors' Choice Article」として選ばれました。
記事にもなっております。

Kouji Yasuda, Kazuma Maeda, Rika Hagiwara, Takayuki Homma and Toshiyuki Nohira
“Silicon Electrodeposition in a Water-Soluble KF–KCl Molten Salt: Utilization of SiCl4 as Si Source”
Journal of the Electrochemical Society, 164(2), D67-D71 (2017).
ジャーナルのHPはこちら

内容としては、
「電気めっき用の原料として、
 SiCl4というガスを使用できる」
ということを、熱力学、電気化学の観点から証明したものになります。

電気化学のジャーナルなのですが、
原料について取り扱ったものは珍しく、有用性も高い、
ということが評価の対象です。

2016年9月3日土曜日

熱化学と電気化学と自由度

本来、熱力学と電気化学も、物理化学の中の一分野なのですが、
それらを統一した理解することが、学問領域の細分化された最近では
なかなか為されているとは言い難いと感じます。


工学のための物理化学 -熱力学・電気化学・固体反応論- (サイエンス社、2006年)


















たとえば、熱力学を研究している人にとっては、
系の自由度を考えるのは常識です。
しかし、電気化学の分野の人は、あまり規定することがなく、
量論で議論をしている報告が多いです。

実際の物質の挙動は、学問分野の分け方には関係が無いわけで、
当然、電気化学反応を考える上でも、自由度については考慮すべきで、
それを規定しない中での議論は、
平衡論の議論として成り立たっていないこととなります。


その点を考慮し、
自由度を踏まえた上で行った電気化学反応の平衡論計算について、
最近、論文を1報発表しました。URLはこちら

Kouji Yasuda, Yusuke Kashitani, Shingo Kizaki, Kohki Takeshita, Takehisa Fujita and Shinji Shimosaki,
“Thermodynamic Analsis of Silicon Monoxide Negative Electrode for Lithium Ion Batteries”

Journal of Power Sources, 329, 462-472 (2016).



リチウムイオン二次電池の負極として使用する、
SiO(一酸化ケイ素)に関する、理論平衡曲線をプロットしています。
また、Si負極でも、表面酸化膜が必ずありますし、
粉砕して作製したSi負極は酸化物が多く生成している可能性もあります。

Li基準で、0.5~1.2Vあたりに、
それらからLiシリケートが生成する電位プラトーが見られ、
その後にSiがLiと合金化する反応が計測されます。


同じ手法は別の系でも適用可能ですので、
電気化学反応による電極組成の変化について熱力学計算をおこなう場合、
役立つ内容になっているかと思います。

2016年8月12日金曜日

オープンキャンパス

今週は、京都大学でオープンキャンパスが開催されました。

35℃を超える猛暑の中、
高校生はもちろん、親御さんの姿も多くみられ、
ご参加いただいたことに感謝いたします。


朝から夕方まで盛況でした













そんな中、目を引いたのが、
キャンパス内で看板を持っている女子学生が多くみられたこと。
看板を見ると、「テク女子」と書いてありました。


今まで学内におりながら知らなかったことを恥ずかしく思うのですが、
どうやら数年前から開催している、
「工学部に興味のある女子学生」をターゲットとした
講演会や懇談会なんですね。

昨年ノルウェーへ出張した時、
向こうでは、金属工場で勤務している方の男女比が
ちょうど半々だったことに驚いたのを思い出します。


工学に興味があれば、 
男子でも女子でもどんどん京大へ来てほしいのですが、
事前に情報を得られることで、少しでも飛び込んできてくれるのであれば、
とっても喜ばしいことですね。

2016年7月29日金曜日

電気化学の巨人

今まで4年近く一緒に研究していた
楊 肖 特定助教が、5月いっぱいで退任し、
6月からはアメリカのUniversity of Texas Austinへ異動しました。

彼の新しい勤務先は、
Allen J. Bard教授の研究室です。

電気化学を学ぶ人ならば、
皆が書棚に1冊は持っているであろう。
Electrochemical Methodsを執筆者である先生です。
彼の名を知らない人は、
電気化学の分野での「もぐり」ではないかというくらいの、超有名人です。


安田も1冊持ってます


















この書籍も初版が1980年で、36年も前の本になります。
その当時から、書籍を執筆するなどアクティブだった先生が、
今もなお現役でご活躍とのことに驚きです。
もう80歳を超えておられるのだとか。


そんな折、溶融塩化学講習会(実験講習会)の準備を進め、
過去の溶融塩の書籍やデータベース文献などを
探してリストアップする作業をしていたところ、見つけました。
またもや、Allen J. Bard先生。

Encyclopedia of Electrochemistry of the Elements
こちらの初版は1973年
今から、43年も前のことです。


研究室の書庫には所蔵がありました


















今と違って、 インターネットも無い時代。
文献を集めて、それらの数値をデータベース化するなど、
どんなに大変だったろうと思います。

玉石混交の星の数ほどの論文が出回っている時代ではなかったので、
文献の数も絞られていたとはいえ、
分野の巨人というのは、極めて偉大だと感じました。
亜鉛還元による太陽電池級シリコンの高速連続製造法に関する研究

安田 幸司
(京都大学 環境安全保健機構 助教)