2015年5月28日木曜日

高温電気化学の精密測定

昨年まで、私の研究室の准教授であった野平先生が、
1月から京都大学エネルギー理工学研究所の教授へ昇任されました。

私と一緒に高温電気化学をはじめとした
共同研究を行っており、研究室の学生が用いている装置も、
新しい研究室へと移動いたしました。
そのため、私自身も学生とともに、
共同研究先の野平研究室へとデスクを置かせていただき、
装置の復旧と立ち上げ作業に、春はいそしんでおりました。



電気炉の立ち上げ中、ボンベも仮配置です













実験装置、分析装置のレイアウト案です















ゆえに、
・萩原研究室(吉田キャンパス)
・萩原研究室(宇治キャンパス)
・野平研究室(宇治キャンパス)
の3ヶ所を移動しながら、
学生の研究指導や、核燃料物質の管理業務を行ってます。


3ヶ所のうちどこにいるかを、マグネットボードに掲示














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さて、そんな中、
修理中だった電気化学測定装置の1つが返ってきました。

この装置の良いところは、
IR補正の性能が良いところです。


電気化学測定を行う場合に、
電位をある一定の速度でスキャンし、電流の応答曲線から
電気化学反応の速度論を評価する手法があります。
通常は、たとえば100mV/sの速度でスキャンすると、
電極表面にかかる電位は、1秒あたり100mVずつ変わっていきます。


しかし、電流を流す際には、IRドロップというものがあります。
電流値(I)や電解浴抵抗(R)が大きいと、
電極にかけた電位が、電極と電解質の界面に全てかかるわけでなく、
電解浴内部での電圧ロスにかけられてしまいます。

そのため、100mV/sの速度でスキャンしても、
電極表面にかかる電位は、たとえば1秒あたり90mVずつしか変わらず、
速度パラメータの評価が正しく行えません。



無事に返ってきました













今回戻ってきた装置は、
特に高速スキャンに対するIRドロップの補正機能が高く、
今までに測定したデータを、先日再測定いたしました。
学会用のデータも修正することとなりそうです。

こういったIR補正機能は、
電流の大きな高温での電気化学測定では、
精密データを得るのに特に重要になってくるのです。



補正前後のデータ。補正後はピークが鋭く。

亜鉛還元による太陽電池級シリコンの高速連続製造法に関する研究

安田 幸司
(京都大学 環境安全保健機構 助教)