2013年6月8日土曜日

研究テーマ紹介

遅ればせながら、
私が行っている研究テーマについて紹介させていただきます。


===============================


【概略】

助成をいただいているテーマは
『亜鉛還元による太陽電池級シリコンの高速連続製造法に関する研究』
と題しております。

すなわち、研究対象としては、
太陽電池に使用される高純度シリコンを、
「より高速に」「より効率的に」作るための条件を、
きわめて基礎的な実験から検討しようというものです。



【背景】

1990年代までは太陽電池市場の普及が進んでおらず、
市場も小さなものでした。
そのため、シーメンス法と呼ばれる方法でつくられた
半導体用の高純度シリコンのうちの、
端材部分を使うだけで
太陽電池用シリコンの供給が十分にまかなわれていました。

しかし、2000年代に入り、
ヨーロッパを中心に太陽電池の導入が進むと、
原料となる高純度シリコンの供給がひっ迫してきました。
以来、世界各所で、
シリコンの新しい製造法の研究開発が進んでおります。

現状、状況は解消され、
市場は供給過多な状態となっておりますが、
将来的な問題に対応するために、効率的な製造法を開発しておくのが、
エネルギー環境問題の解決のためには重要であると考え、
私のほうでも、同テーマに関する研究を行っております。



【研究方針】

シーメンス法が開発される前には、
四塩化ケイ素を亜鉛で還元する、
デュポン法と呼ばれる手法が、高純度シリコンの製造法でした。

一般的に、
 SiCl4  +  2 Zn  →  Si  +  2 ZnCl2
で表されます。


かつての工業的製造法をベースとして改良を行えば、
効率的な高純度シリコン製造法になるのではないか、
というのを究極的な目標とし、
本研究では、この反応の詳細な機構を解明することを目的としています。



私個人としては、
本助成に関する手法以外にも、
他の手法でも、色々と検討を行ってます。

どれが一番スジがいいかというのを見極めるため、
新しい手法を考える以外に、
学術分野に基づいた反応解析を行っております。

(もちろん、シリコン以外の他の金属の研究もしてますよ。)

===============================


やや長々となりましたが、
またご質問等あれば、いつでもお聞きください。
亜鉛還元による太陽電池級シリコンの高速連続製造法に関する研究

安田 幸司
(京都大学 環境安全保健機構 助教)