9月11日(木)に、
電気化学会溶融塩委員会が主催する、
溶融塩化学講習会(実験講習会)が開催されます。
リンクはこちら。
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溶融塩というのは、
たとえば食塩(塩化ナトリウム)のようなイオン性化合物を
融点以上まで昇温させて液体になったものです。
食塩水という液体の場合、
Na+イオン
Cl-イオン
H2O分子 ← これが大部分
H+イオン(H3O+イオン)
OH-イオン
が液体を構成します。
その一方、塩化ナトリウム溶融塩という液体の場合、
Na+イオン ← これと
Cl-イオン ← これの2つだけで全部
のみが存在する液体となります。
電離したイオンだけから構成される液体のため、
凝縮プラズマと呼ばれることもあります。
常温で液体のものから1000℃弱で融解するものなど、
色々な種類の溶融塩があり、
工業的には、
・アルミニウムや希土類元素、
リチウムやマグネシウムといった活性金属を製造する電解質
・ガラスの表面強化処理
・廃棄物処理
・溶接のフラックス
・燃料電池や二次電池の電解質
として利用されています。
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今回の講習では、当委員会で初となる、
室温溶融塩と高温溶融塩の使い方を1日で学べる
実験講習会を開催することとなりました。
当研究室で、
室温溶融塩(イオン液体)の研究をしている松本助教、
高温溶融塩の研究をしている私、がリレー講義を行います。
2014年9月11日(木) 9:30-16:30(終了時刻は予定)
〒606-8501 京都府京都市左京区吉田本町
京都大学本部キャンパス 工学部物理系校舎506号室
9:30〜9:40 開会の挨拶
9:40〜16:30 2班に分かれて講義と実験(実験が終わり次第解散予定)
A班:午前-室温イオン液体、午後-高温溶融塩
B班:午前-高温溶融塩、午後-室温イオン液体
内容
(1) 室温イオン液体の電気化学測定
講師:松本一彦(京都大学)
講義:イオン液体取扱い上のポイント
実習1:イオン液体の乾燥、カールフィッシャー滴定による含水量測定
実習2:測定セルおよび電極の準備
実習3:フェロセンの酸化還元挙動のサイクリックボルタンメトリー
実習4:電位窓測定(アルカリ金属の析出溶解)
イオン液体は、TFSA系およびFSA系イオン液体を使用予定。
(2) 高温溶融塩の電気化学測定
講師:安田幸司(京都大学)
講義:溶融塩取扱い上のポイント
実習1:LiCl-KCl共晶塩の準備、電極作製
実習2:Al-Li合金参照極およびAg+/Ag参照極の使い方
実習3:予備電解と電位窓測定(リチウム金属析出および塩素ガス発生)
実習4:MgCl2塩の添加とMg析出の電気化学測定(CV, CA等)
溶融塩は、LiCl-KClを使用予定。
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最近大変なのは、
去年の引っ越しで高温溶融塩の装置を
すべて宇治キャンパスに持って行ってしまったので、
本部キャンパスで実験装置とガスラインを組み直しています。
あと、当日示すためのデータや写真をとるために、
予備実験も数回行っています。
学問分野を多くの人に発展させるために、
研究者にとっては、論文にならない研究や実験も大切です。