2016年6月21日火曜日

蒸発を抑える

本財団の研究成果の一つであるのですが、
蒸気圧が高く、蒸発しやすいものの蒸発を抑える方法があります。















アイデアとしては、
小学校の教科書から取ってきました。

試験管に水を入れておくと、徐々に蒸発していってしまいます。

しかし、上の写真のように、
水の上に油の層を張っておくと、水は蒸発しないのです。


正確に言うと、
「水の溶解しない液相を上側に乗せる」と、
蒸気圧が1気圧を下回る温度では、ガスのバブルが発生することが
できず、蒸発することができないのです。


===============================


我々の研究では、
蒸気圧の高い金属を、
 溶融塩という液体の底に沈めることで、
 蒸発をほとんどさせずに取り扱うことができる」
ということを、研究に応用しています。

実際には、形態はわからないものの、
溶融塩に若干溶解しているようで、ごく少しずつ蒸発はしますけどね。
ほぼ無視できる量です。


こういう、ちょっとしたことから、
研究というのは進展したりするんですよね。
ある意味、醍醐味だと思います。

2016年6月9日木曜日

電位-pO2-図の作成

反応の起こる方向をビジュアル化すると、
多くの理解が深まることがあります。

装置や溶液を可視化することもそうですし、
今、我々が取り組んでいるのは、
電気化学反応における化合物の安定領域を、
電位や酸化物濃度のグラフとして図示する手法で、
「電位-pO2-図」 と呼ばれるものです。


ただし、手法自体は新しいものではなく、
水溶液中では同様の手法は「電位-pH図(でんい-ペーハー図)」 もしくは
発表者の名にちなんで「プールベダイヤグラム」と呼ばれます。

電位-pO2-図は、水溶液ではなく、
NaClのような塩が溶けた「溶融塩」中での電気化学反応を解釈する
ために作成されるもので、
1962年にR. Littlewoodが発表した手法です。


計算法としてはすでに確立されておりますが、
どのデータをもとに計算するか、どの溶融塩中の反応について考察するか、
で結果が変わってきます。
そのため、 元データの厳選が肝となります

昨日は、色々な系について調べました。
実験結果を説明できるものもあれば、できないものもあり。
あくまで、平衡論に基づいた解釈法なので、
速度論的には違う反応が優位に起こることもあり、
実験データと組み合わせて利用するのが望ましいです。

昨日のホワイトボード、数多くの系に関して計算しました
亜鉛還元による太陽電池級シリコンの高速連続製造法に関する研究

安田 幸司
(京都大学 環境安全保健機構 助教)