2014年7月26日土曜日

溶融塩化学講習会(実験講習会)

9月11日(木)に、
電気化学会溶融塩委員会が主催する、
溶融塩化学講習会(実験講習会)が開催されます。
リンクはこちら


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溶融塩というのは、
たとえば食塩(塩化ナトリウム)のようなイオン性化合物を
融点以上まで昇温させて液体になったものです。


食塩水という液体の場合、
 Na+イオン
 Cl-イオン
 H2O分子    ← これが大部分
 H+イオン(H3O+イオン)
 OH-イオン
が液体を構成します。

その一方、塩化ナトリウム溶融塩という液体の場合、
 Na+イオン ← これと
 Cl-イオン ← これの2つだけで全部
のみが存在する液体となります。
電離したイオンだけから構成される液体のため、
凝縮プラズマと呼ばれることもあります。


常温で液体のものから1000℃弱で融解するものなど、
色々な種類の溶融塩があり、
工業的には、
・アルミニウムや希土類元素、
 リチウムやマグネシウムといった活性金属を製造する電解質
・ガラスの表面強化処理
・廃棄物処理
・溶接のフラックス
・燃料電池や二次電池の電解質
として利用されています。

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今回の講習では、当委員会で初となる、
室温溶融塩と高温溶融塩の使い方を1日で学べる
実験講習会を開催することとなりました。

当研究室で、
室温溶融塩(イオン液体)の研究をしている松本助教、
高温溶融塩の研究をしている私、がリレー講義を行います。



2014年9月11日(木) 9:30-16:30(終了時刻は予定)
〒606-8501 京都府京都市左京区吉田本町
京都大学本部キャンパス 工学部物理系校舎506号室

9:30〜9:40 開会の挨拶
9:40〜16:30 2班に分かれて講義と実験(実験が終わり次第解散予定)
         A班:午前-室温イオン液体、午後-高温溶融塩
         B班:午前-高温溶融塩、午後-室温イオン液体


内容
(1) 室温イオン液体の電気化学測定
  講師:松本一彦(京都大学)
   講義:イオン液体取扱い上のポイント
   実習1:イオン液体の乾燥、カールフィッシャー滴定による含水量測定
   実習2:測定セルおよび電極の準備
   実習3:フェロセンの酸化還元挙動のサイクリックボルタンメトリー
   実習4:電位窓測定(アルカリ金属の析出溶解)
   イオン液体は、TFSA系およびFSA系イオン液体を使用予定。

(2) 高温溶融塩の電気化学測定
  講師:安田幸司(京都大学)
   講義:溶融塩取扱い上のポイント
   実習1:LiCl-KCl共晶塩の準備、電極作製
   実習2:Al-Li合金参照極およびAg+/Ag参照極の使い方
   実習3:予備電解と電位窓測定(リチウム金属析出および塩素ガス発生)
   実習4:MgCl2塩の添加とMg析出の電気化学測定(CV, CA等)
   溶融塩は、LiCl-KClを使用予定。 


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最近大変なのは、
去年の引っ越しで高温溶融塩の装置を
すべて宇治キャンパスに持って行ってしまったので、
本部キャンパスで実験装置とガスラインを組み直しています。
あと、当日示すためのデータや写真をとるために、
予備実験も数回行っています。

学問分野を多くの人に発展させるために、
研究者にとっては、論文にならない研究や実験も大切です。

2014年7月24日木曜日

研究室旅行

毎年7月の3連休には、
研究室旅行へ行っております。
今年も先週末に行ってまいりました。

教員にとっては前期授業がほとんど終わり一息、
院生にとっては研究に一息、
4回生にとっては大学院入試に一区切り、といったところでしょうか。

私も最近、ここのブログがご無沙汰なくらい、
ある実験(次記事参照)に追われておりますので、良い休みとなりました。



研究室旅行というのは、研究室によって色があり(そもそも行わない研究室もあります)、
当研究室の場合は、
 ・家族も来られることが多い
 ・けっこう観光する
 ・大型バスをチャーターして全員で移動
といった雰囲気です。

京都は地理的に恵まれているので、
四方のどちらに行っても、それなりの観光地があります。
今年は、岐阜&金沢を満喫してまいりました。


30人強でバス移動

ニジマスのつかみ取り

夏の白川郷、良い景色でした

夏と言えば花火


















































また、毎年恒例(になってしまった?)、
私が企画と司会をするクイズ大会も開催させていただきました。

今年のテーマは、テレビ番組をマネし、
「科学者格付けチェック」

番組とは違って、
科学に関係するようなしないような問題に正解すると
ランクアップするシステムです。


4チームに分かれて全7問
わかったら安田に答えを耳打ち
最下位チームは「理科クラブ」でした。がんばりましょう。




































この旅行と企画をいい思い出とし、
院生にはこのメンバーとの研究生活に前向きに取り組んでもらって、
4年生には大学院入試でウチの研究室に残りたいというモチベーション
なって勉強に励んでもらいたいものと思います。


亜鉛還元による太陽電池級シリコンの高速連続製造法に関する研究

安田 幸司
(京都大学 環境安全保健機構 助教)